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科学的なものの見方

都島 功教授
 新たなる創造をするには、既存の知識、技術を幅広く、深く修得することに加え、きちんとしたものの見方を身につける必要があります。これは科学の歴史から学ぶことができます。
 そこで、文系の学生には少し難しいが、ニュートンの万有引力の法則とアインシュタインの相対性理論を眺めてみます。
 ニュートンの偉さは、当時では非常識であったであろう、地球がリンゴに及ぼす力と天体間の力とがまったく同じ法則で支配されていると考え、それを極めて単純な定量的モデルで証明したことであろう。万有引力の法則により、いろいろな星の運動が説明できるようになりました。また、未知の星があるとの予測ができ、その通り海王星が発見されました。この法則は、天体間になんら引っ張る手段がなくとも力が遠いものに伝達されるという遠隔作用を前提としています。
 これに対し、アインシュタインは、なんら引っ張る手段がないのに力が働くのは変だという疑問から、遠隔作用を否定し、例えば綱を引っ張る場合、力が綱の一点に働くと、それが近接している点を次々に引くという近接作用を採用して、重力を空間のゆがみとしました。これにより、水星の軌道の僅かな変動、重力の場による光線の彎曲等の現象が相対性理論では解けました。
 以上の話からいくつかの有用なものの見方が学べます。法則は予め土の中にあって宝探しのように見つけるものではなく、人間が対象をいかに見るかによって生み出されるものです。数式をいじくりまわすだけでは何も生まれはしません。いかに見るかについては、既存の権威(理論等)をうのみにせず、その限界を見極め、前提にさかのぼり疑問を持つことが重要です。
 また、まったく異なると思われる対象を同一の見方で、逆に、同一と思われる対象を別の見方で見る大切さも教えています。モデルに関し、対象の記述、説明だけでなく、新しい結果の予測ができて始めてモデルといえること、複雑にすることが良いのではなく、万有引力のモデルのごとく、単純なことが美しいと感じることも重要なことです。

 


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