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レール幅762ミリを存続させるために

岩崎 恭典教授
 このリレー随筆も2順目に入りました。
 前回も少し触れましたが、今年も12月22日に、三岐鉄道北勢線で、サンタ電車を運行します。チラシは、次の通りです。是非ご参加ください。
 昨年と違って、今年は、サンタ電車を運行する三岐鉄道北勢線とともに、全国に3つしかないレール幅762ミリの特殊狭軌鉄道の一つ、四日市市の近鉄内部・八王子線の存続問題が急浮上しています(残り一つは、観光目的の黒部渓谷鉄道です)。
 田園地帯を走り、年間乗車人数約240万人の北勢線とは違って、四日市の市街地を走る近鉄内部・八王子線ですが、利用客数は昭和45年の半分、363万人まで減少していました。近鉄は、これまでも、ワンマン運転や駅員の無配置などの経営努力を重ねてきましたが、今年になって、突然、バスへの転換計画(BRT構想)を打ち出したのです。レールを撤去し専用道にする経費、連節バスの導入費用など転換に伴う初期費用30億円程度の全額負担を国や四日市市に求め、しかも、来年夏までに市に方針決定を迫るといった近鉄の姿勢に、地元は、鉄道としての存続を求める署名活動を展開するなど、公共交通としての鉄道の意義を再度見つめ直す契機になっています。
 近鉄のBRT構想には多くの無理があります。転換までの数年間の代替交通手段をどうするのか。特殊狭軌という線路幅のままでバスを走らせることは可能ですが、離合区間やバス転回スペースをどう確保するか、なによりも、既存の橋梁部分は、車幅がとれず架け替えが必要になると考えられます。また、現在の利用人数でも、一日約1万人いるわけですから、大雑把に、連節バス乗車人数100人とみて、一日100往復が必要です。朝夕のラッシュ時には、横切る道路の遮断機は閉まりっぱなしとなり、並行する国道の交通渋滞にとどまらず、さらに渋滞は面的に拡大するといった状況が容易に予測されます。
 鉄道として維持するためには、老朽化した様々な設備の更新が必要です。車両の更新だけでも、特殊なサイズの車両であるだけに、図面を引くところから始めなければならないため、一両一億円以上かかるといわれています。
 しかし、ピーク時にも対応できる大量輸送性、定時性、はからずも達成されているバリアフリーと鉄道の持つメリットも、これから、自動車を運転できなくなる高齢者が増えてくるだけに、より注目されなければならないはずです。
 これまで、三年間、三岐鉄道北勢線で、サンタ電車の運行を続けてきました。これは、今、鉄道をなくしてしまうことは簡単だけれども、一旦なくなった鉄路は復活しない、お年寄りが増えれば増えるほど、鉄道の持つ車に対する比較優位性は高まるはずだと考えて、将来の乗客となるべき子どもたちにこそ乗車体験をしてもらおうと実施しているものです。
 今年も、サンタが様々なプレゼントを用意して待っています。西桑名駅には、沿線自治体を代表する、ゆるキャラも集合します。
 明日の公共交通を考えるためにも、是非、乗りに来てください。

 


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