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人生を変える旅

友原 嘉彦講師
 

 去る2013年2月15日から3月13日までインドとネパールに行ってきました。目的は「人生観と旅」に関する研究を遂行するための調査を行なうことにありました。旅先で出会った単独の日本人バックパッカーの皆さんから聞き取りをさせていただきました。今後は集まった24人分の調査結果をまとめ、分析を加えていく予定です。
 先にインドに行き、3月2日まで滞在しました。首都のデリーから入り、タージ・マハル廟のあるアグラ、そしてヒンドゥー教の聖なる河であるガンガー(ガンジス河)河畔のヴァラナシ(ベナレス)の順で訪れました。インドでは実に多くのバックパッカーに会いました。推測する限り、経済力・人口規模・取得可能な連続休暇日数などから、やはりドイツ人・ドイツ系が最も多い印象がありましたが、日本人も大学等の休暇の時期でもあり、おそらく次点ではないかと考えられるくらいよく見かけました。日本人バックパッカーは概して若く、多くは20代で、また、一人旅のバックパッカーでした。フレンドリーな人がほとんどでしたが、笑顔でニコニコしつつも、話を聞くと、彼ら彼女らはインドで「何か自分の人生を変えるきっかけを掴みたい」と考えている人が多く、特にそうした希求は20歳前後、つまり卒業旅行で来ている4年生を除く1-3年生の大学生により強く見られました。
 私の経験ではこうした「自分探し」の学生はなにもインド一人旅の者だけでなく、外国に出ている学生の全般から見て取れます。ただ、インドはその期待の程度がかなり強いのではないかと感じました。仏教、ヒンドゥー教、キリスト教、ジャイナ教、シーク教、イスラム教など、世界規模のものも含めて複数の宗教が分立しており、人々の生活に深く根差している点。これら宗教の聖地はインド国内に複数ありますし、エキゾチックさも強く感じられます。また、集中して旅するに申し分のない広大な1つの国土である点、自由に旅できる国である点、さらに、喧騒・混沌・環境汚染・極度の貧困(格差)など日本やほかの先進国が克服したもの、中進国が克服しつつあるものを残している、直に接することのできる点。この点にはいわゆる「ボッタクリ」や「頭痛、嘔吐、腹痛、下痢など病気全般」を味わうリスクも含まれ、これが「武勇伝作り」と申しましょうか、「冒険心が満たされる」というある種の旅の醍醐味に繋がっていることは否定できないでしょう。インドのこうした諸点が学生(若者)を惹きつけてやまない根拠となっていると考えます。
 一方、ヴァラナシから北上し、入国したネパールはバックパッカーの層が明らかに違いました。もちろん、私のようにインドから入国した者もいるのですが、ネパールだけを周っている者も多いのです。安宿と呼ばれるゲストハウスもあまり宿泊者が交流を図ることができるような作りにはなっていません。ネパールのバックパッカーは人や文化からの刺激を求めているというより、ヒマラヤに絡んだトレッキング目的など「爽やかな旅」をしている者に多く出会いました。また、一人旅の者は相対的に少なくもありました。なお、ネパールはブッダの生地であるルンビニ、標高7000m弱の山で街のシンボルであるマチャプチャレ(フィッシュテール)を望む避暑地・ポカラ、そして首都のカトマンズの順に滞在しました。
 最後に、今回の調査に協力いただいた24人のバックパッカーの皆さんに篤く御礼を申し上げます。また、タイトルにも挙げましたが、「人生を変える旅」をしていた20歳前後の若者の皆さんにはかつての私自身の姿が重なって見えました。「まだ何がしたいのか、どう生きていけばよいのかはっきりとわからない、ただ、自由に楽しく自分らしく生きていきたい」、こうした声が聞こえてきました。最近は「セカ就」(あまり、あるいはまったく日本での就業経験がないまま海外で就職すること)がクローズアップされています。私もかつては中国で仕事をしていました。活躍できるフィールドは最早、日本だけではありません。今回の滞在でも、レストランのスタッフ、ゲストハウスのスタッフ、日本語教師、小物類を買い付けに来ていた人など現地に住んだり、関係したりしている日本人に会いました。私は若者のひきこもりやニートといった問題に関心がありますが、若いうちに「自分」を見つけて、「輝ける」あるいはせめて「これならやっていけそうだ」という生き方を見つけて欲しいと考えています。「そのきっかけを掴むのにふさわしい場所は確かにインドなのかもしれない」と火葬の煙の立ち込める夕暮れのガンガー河岸を歩きながら、ふと考えたのでした。



ガンガーで泳ぐ著者
ガンガーで泳ぐ著者
さっぱりして、沐浴のインド人と握手
さっぱりして、沐浴のインド人と握手
   
火葬場
火葬場
夕暮れのガンガー河岸
夕暮れのガンガー河岸
   
大学の観光マネジメント学科で講演する著者
大学の観光マネジメント学科で講演する著者
(写真はすべてヴァラナシです)

 


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