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高田ゼミ、句会を催す

高田 晴美講師
 

 少し古い話になりますが、7月、前期の最後の2年ゼミ(基礎演習2)。高田ゼミでは句会を催しました。私は国文学を専門としておりますが、短歌や俳句が割と好きとは言えそれを研究しているわけではありませんし、もちろん俳人でもありません。句会に参加したこともありません。しかし、以前に句会と歌会の実況中継のような本を数冊読んだことがあり、なかなか楽しそうでいつかやってみたいと思っておりました。高田ゼミは一応、文学をテーマとしたゼミ。正式な句会の手順からはやや外れてアレンジするにしても、よし、ここでやろう、と。
 まずは、前の週に「夏」というお題で一句作ってくるよう、学生に宿題を出しました。宿題のことなんか忘れているのではないかと思いきや、皆、渾身の一句(?)を作ってきました。それを一人ひとり、無記名で紙に書かせ、私が黒板に写しました。以下が学生らの句。


 @花火みるふりしてみてる君のかお
 A暑すぎるやっぱり夏は暑すぎる
 B夏祭りみんなであそんだ水ふうせん
 Cイライラに拍車がかかる蝉の声
 D夏がきたそれを知らせる蝉の声

     
いかがですか? 素直で素朴なもの、感性がほの見えるもの、俳句の型が何たるかを知っているもの。なかなかに、それぞれの性格と俳句というものへの認識のありようがうかがわれるよくできた作だと思いませんか?
 無記名で提出してもらったので、自分の句がどれかというのは伏せた上で、それぞれの句を自由気ままに講評し合おうとしたのですが、学生はしょっぱなから、「@はKだろう?」「お前しかこんなの作らねえ」と、「夏」としか言っていないお題だったにも関わらずてらいもなく夏の恋を詠んできた@に皆の関心が集中したことから、作者の当てっこ大会が始まってしまいました。が、それもまた一興。自分の句をあえて嫌いだと言った上で、他の学生の句の方が好きだと言った学生も。色々と思うところがあるのでしょう。そして、自分のも含めた全員の句に、「秀」「優」の評価をしてもらい、それを集計して発表しました。これはゲームでもありますから、ドキドキ感も必要です。結果は大差はないものでした。
 続いて、学生にいわゆる羞恥プレイをしてもらおうと思い、「恋」というお題を出して、その場で作ってもらいました。季語は今回は無しでもかまわないとし、学生たちには「別に経験したものでなくてもいいよ、妄想の恋でも」と言ったのですが、わいわい言いながらもそれぞれが自分の過去に思いをはせているよう。そこでできたのがこれら。


 E電車で声をかけたが彼氏もち
 F席があくいつしか君がいなくなる
 G夏祭り隣で一緒にみた花火
 H夢見てた二人で並ぶ帰り道
 I天の川彼女とふたりでねがいごと


これもいきなり作者当てっこ大会になってしまいましたが、二十歳そこそこの男の子の初々しさやらロマンチシズムやら恥じらいやらが窺われて、面白いですね。その後、Fはどういう状況を詠んでいるのだろうかとか、Gは彼女と二人で花火に行ったのか、それとも友人たちの集団で行って、密かに思いを寄せている女の子の隣で胸をときめかせていたのかとか、学生たちも解釈を楽しんでいる様子。複数の句を絡めて起承転結の一つの恋の物語を想像し、披露してくれた学生もいました。
 普段、文学などにそう対して興味もなさそうな学生たちなのに、いやいや、なかなかセンスがあるではないですか。学生たちも「句会って面白いね」と楽しめた様子で、ひとまず句会は盛会のうちに終えました。なお、皆様のご推察の通り、@とFは同じ作者です。見るからに体育会系な青年の心にも、こんなリリカルな浪漫があふれていたのです。

 


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