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「島に散らばった「ハート」のかけら」

岩崎 恭典教授
 

 2014年2月14日、世間では、バレンタインデー。チョコレート会社の宣伝に乗って、チョコが飛び交うなか、私たち、小林・岩崎ゼミを中心とした、男ばかり10人の団体は、志摩市の渡鹿野島に居ました。

 2012年9月、夏の終わりに、私たちは、三重県地域連携部南部活性化局の紹介で、初めて渡鹿野島にやってきました。総人口247人、高齢化率44.3%(2010年)という、渡船で3分の内海離島ですが、大きなホテルが林立し、6割近くの方が宿泊業・飲食サービス業に従事されている島です。残念ながら、宿泊入込客数は、1990年の年間約15.5万人から減り続け、2011年には約4.4万人、この間、ホテルも3軒、民宿が1軒廃業しています。最近では、廃業したホテルや人口減少で空き家となった家屋を、観光地ではどこでもあった風俗産業と結び付け、面白おかしく雑誌が取り上げたり、都市伝説としてインターネットに掲載されるなど、外からみる島のイメージは決していいものではありません。
 「こんな島のイメージは、我々の代で払拭したい」との地元の区長(自治会長)さんの熱意に応える形で、若者の視点で島の良いところを見つけようという1泊2日の合宿でした。 島中を巡り歩いた学生からは、「インターネットの記事は、嘘ばっかりだ」「島には、荷物運搬用の軽トラックが数台あるだけで、逆に車を気にせず歩けるのはいいのではないか」「廃屋を積極的に観光資源にしよう」「獣害を気にせず農業ができるのでは」といった意見が出て、志摩市の大口市長を含む住民の皆さんの前で、報告をしました。
 意見交換の中で、まずは、インターネット上のマイナスイメージを払拭するための情報発信の必要性、そのためのホームページの開設と、島の形がハートをしていることに因んでのイメージアップ戦略としてのイベント企画が具体的な検討課題となりました。

 ホームページは、島の皆さんに管理人になってもらうための講座を開催し、2013年7月にフェイスブック上で「ハートアイランドわたかの」として開設しました。
 ぜひ、「いいね!」をお願いします。
 イベント企画については、2013年11月30日〜12月1日の企画合宿で、改めて、島内を歩き回り、「島に散らばった「ハート」のかけら」と題して、ハート型の島内に8か所設置されたチェックポイントで、応募したカップルがミッションをクリアしながら、クリアするたびに、「ハートのかけら」をゲットし、ハートを完成させたうえで、景品のアワビ、伊勢エビ、牡蠣を獲得できるという企画となりました。モニターツアーということで、限定10組の募集としました。

 さて、冒頭の2月14日・バレンタインデー、いよいよ「島に散らばった「ハート」のかけら」スタートです。ところが、当日朝から思わぬ大雪。地元の古老が80年生きてきて初めてという積雪です。企画実施応援の学生の中には、鳥羽駅で立ち往生するもの、車で四日市から12時間かけてやってくるものなど、大混乱。せっかく応募してくれた皆さんも、大部分が、途中で大渋滞にはまって身動きがつかず、結局、企画自体は中止にせざるを得ませんでした。
 時間を持て余した学生は、自発的に雪かきのお手伝い。高齢者ばかりの島民には少しはお役に立ったと思います。
 翌日、一転して快晴のなか、前日夜遅く、12時間かけて、夜9時にようやく到着したわずか一組の応募者に、企画の一部、八重垣神社でのヒオウギ貝の貝殻をハート型に加工した願掛けの貝絵馬に願い事を書いてもらい、神社に奉納。モニターツアーの反省会を行いました。
 反省会では、今回は、雪で中止はやむをえなかったが、来年もう一回、あくまでも2月14日にこだわって、リベンジで実施すること。さらにハートに徹底的にこだわった産品、例えば、トマトなどを創っていこうといった意見が出ました。

 2012年の夏合宿では、離島振興は橋を架けることという意見が強く、廃墟ツアーやバックパッカー向け低料金宿泊所といった、学生側からの提案は、その多くに拒絶反応が示されました。
 しかし、度重ねた打ち合わせと夜中まで学生が懸命に企画を考える姿を見ていただいて、「島に散らばった「ハート」のかけら」企画は、地元の皆さんの主体的な取り組みとして実施されることになりました。先述のヒオウギ貝の貝絵馬だけでなく、ハート型の手作りバッチやハート型の入浴剤といったお土産、さらには、丘の上で鳴らす船舶用の点鐘など、一つ一つを工夫して、地元の皆さんが用意されました。
 企画自体は中止になりましたが、「こんなものを用意したんだ」と楽しそうに語っていただく島民の皆さんに、イベント中止に落ち込んでいる私たちの方が元気づけられたのです。

 こんな、2年間にわたる渡鹿野島でのゼミ活動を、2014年3月13日、県主催の域学連携シンポジウムで、学生代表2名が報告、登壇しました。
 会場からの「学生はどう思っているのか」といった質問には、「渡鹿野で得た経験を地元で役立てたい」と胸を張って答える学生の姿をみて、地域の方々にも参加した学生にもウィンウィンの関係が築けていることを実感しました。

 4月からの新学期では、後学期に、新規の科目・コミュニティ論の実習として、また、学生諸君を連れて、渡鹿野島に行きます。
そして、2015年2月14日には、履修学生と共に渡鹿野島でお待ちしています。
ぜひ、「島に散らばった「ハート」のかけら」に参加してください。

 


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