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ドイツに学ぶ「大人の」商店街作り

友原 嘉彦講師
 

 Grüß Gott :) 2月15日から3月1日までドイツに行ってきました。ドイツ(どころか欧州)は留学を終えた2010年以来、4年振りでした。今回は現在、取り組んでいる偉人観光の研究の一環で、主としてバーデン・ヴュルテンベルクBaden-Württemberg州を訪れました。この州は今回、初めて訪れました。フランスやスイスと国境を接するドイツ南西部に位置し、黒い森Schwarzwaldが有名です。現在のこの州でノーベル文学賞(1946年)作家であるヘルマン・ヘッセHermann Hesse(1877~1962年)は生まれ、育ちました。代表的な作品『車輪の下』“Unterm Rad“(1906年)を執筆したのもこの州においてです。今後、作家であるヘッセと彼の故郷、居住した街を例に、偉人と観光はどの程度結び付きがあり、また、どの程度観光資源として有力なのか、偉人を観光資源としてどのように演出しているのか、などについて考察していく予定です。

 さて、今回はメインの調査地も含め、ドイツの地方都市を巡ったので、このエッセイでも、何か地方都市に関係したことを書こうと考えた結果、ドイツの中心市街地の作りをソフト面からご紹介することにします。日本ではよく(特に)地方の中心市街地の商店街が(シャッターの下りた店舗の多さから)「シャッター通り」と呼ばれ、衰退が問題視されています。本学のある四日市市も残念ながら中心市街地の商店街は複数の店舗でシャッターが下り、あまり活気があるものではありません。一方、ドイツでは四日市市よりも小さな街においても充分に賑わっています。これはどうしてでしょう。ドイツの都市から学ぶべきものは何なのか、見ていきたいと思います。

 まず、ドイツは商店街の店舗が軒並み、洗練されており、清潔だという点が挙げられます。店舗の窓も大きいため、ウィンドーショッピングだけでも楽しめます。また、店名を記した看板やデコレーションの大きさも最小限にされていますし、これらへの夜間の光(ライト)の当て方も決まっています。さらに、静けさが保たれていることも特筆すべきでしょう。商売であれ、選挙であれ、街中でスピーカーからの声やテープ音が流れてくることはまずありません。成熟した「大人の」空間と言えるでしょう。

 次に、歩きやすさと休みやすさを挙げます。日本の商店街では、よく、自転車がスピードに乗ってベルを鳴らしながら横切り、店舗前に店舗と垂直に自転車を停めている光景を目にします。また、座る所もなく、ゴミ箱もなく、ともすれば禁煙としているところもあるでしょう。このように、歩きにくく休みにくい構造となっています。ドイツの商店街では自転車は原則として押して歩きますし、人通りが少ない際に乗ったとしても、ベルで歩行者を立ち退かせるということはまず起きません。ゆったりと歩けるようになっています。ベンチも所々に設置してあります。さらに、ドイツのみならず、ほとんどの国は駅のプラットホームなど一部の場所を除き、屋外での喫煙は自由です。ドイツでは上が灰皿、下がゴミ箱になっている鉄カゴも商店街内に等間隔で設置されています。文字通り、極力「誰もが」利用しやすいようになっていると言えるでしょう。また、日本では自動車道路が商店街を分断しているケースもありますが、ドイツでは(一部、関係車両を除き)歩行者天国になっています。

 最後に、ドイツの商店街の近くに必ずある広場を挙げます。広場はとても開放的です。像や噴水が設置されていることも多いです。曜日によって、市が立ちますし、ときどき、イベントも行なわれます。ワールドカップの際はパブリックヴューイングにもなり、盛り上がります。このような開放的で、イベントが行なえる広場があったらいいですね。

 以上のように、このエッセイでは、大規模な費用のかからないやり方で中心市街地(商店街)に賑わいを取り戻すにはどういうことが考えられるか、ドイツを例に考えてみました。箇条書きで簡潔にまとめると以下のようになります。

  1. 各店舗が清潔で洗練された店作りを目指す。
2. 幟や派手な広告、音の垂れ流しを控え、成熟した(落ち着きのある)「大人の」商店街を目指す。
3. 自転車は乗ったままの進入は禁止とし、押して歩いてもらう。
4. ベンチを充分に設置する。
5. ゴミ箱兼灰皿を充分に設置する。
6. 歩行者天国にする。
(7. 行政は可能な限り、都心に広場となるスペースを設ける。)

 

 このほか、公共交通網(種類、路線、運行時刻など)や駐車場、駐輪場など、専らハード面の整備も考えられますが、費用もかかりますし、ソフト面の方が日独の差が大きいと考えます。中心市街地はまさに都市の顔ですので、いろいろな意見を出し合って、活気あるものにしていきたいですね。それでは。Auf Wiedersehen :)

ガンガーで泳ぐ著者
早朝のハイデルベルクの商店街
(左手前にゴミ箱兼灰皿も見える)
さっぱりして、沐浴のインド人と握手
コンスタンツ(人口約8万人)の商店街
   
火葬場
市長選、市議会選が行なわれているヴュルツブルク
(人口約12万人)の商店街。
この街は路面電車で商店街が分断している。
中にはこうした街もある。
夕暮れのガンガー河岸
ウルム(人口約12万人)の商店街
   
大学の観光マネジメント学科で講演する著者
ウルムの大聖堂前の広場(この日は市が立っていた)

 


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