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学ぶことの喜び

高田 晴美講師
 

 5月、いよいよ公務員試験シーズンが始まりました。私が開いている勉強会に参加している学生たちも、気合を入れてドキドキの本番を迎えています。
 ここ数か月、今年公務員試験を受ける学生たちは、驚くほどの集中力とやる気で勉強に取り組んできました。その中で、「こんなに勉強したのは、人生で初めてだ」「毎日何時間も勉強しているから、親に驚かれている」という言葉を、複数の学生から何度も聞きました。人生のかかった、そして夢が叶うかどうかの試験。皆、一様に「焦っている」と言います。焦って、不安になって、追いつめられて、だけど、「勉強なんてなぜしなきゃいけないんだ」とか、「こんなことに何の意味があるんだ」という声はあげません。これまではスポーツをメインに学生生活や受験をこなしてきた学生が多いこともあってか、「人生で初めて」というくらいですから、どっぷりと勉強漬けの生活をすることそのものに慣れていないでしょうに、勉強に対するやさぐれ感などは、微塵も見せません。しかも、時折、次のような言葉をつぶやいたりします。
「勉強って、すげえな」
「勉強して分かるようになるって、楽しいな」
「絶対に自分は、以前より賢くなっている」
 こういう言葉を聞いた時、私はささやかな、そして晴れ晴れとした感動を覚えます。彼等だって、公務員試験の教養試験の為に取り組んでいる幅広い科目の知識のその多くは、実際に公務員になったら、特に直接的には役立つことはないだろうということは分かっているでしょう。だけれども、勉強することが無意味だとは言わない。しんどいと思うことも多いであろうに、愚痴はこぼしませんし、むしろ、1問解くごとに、確実に自分が賢くなっていることに喜びを見出すことさえあるのです。そして、1問1問をなげやりに解くのではなく、きちんと消化していこうとしているのです。
 公務員試験の教養試験対策の勉強など、所詮は答えが1つとはっきり決まっていて、それにいかに効率よくたどりつくかというだけの、いわゆる「お勉強」です。受験勉強です。そのお勉強をする過程で、論理的な思考能力やある程度の幅広い教養は身に付くかもしれませんが、答えが簡単には出ないような、そしてむしろ、何が問題であるかも自分で発見していかなければならないような、大学ならではの「学問」とは違います。だから、問題も用意されていて、答えも決まっているというこの試験対策の勉強は、本来は、大学の学びとは決して言えないでしょう。正解が用意されている問題演習であるからこそ、努力が直接的に結果に反映されて、割と分かりやすく「身に付いた」という実感も得られるのでしょう。しかし、世の中の多くの問題は、そんなに分かりやすく解けるものではない。何を問題にしないといけないのかすら、よく分からなかったりもする。問題も答えもセットで用意されている「お勉強」で満足していてはいけない。そのための大学での学びです。それでも、この「お勉強」で学生たちが身に付けた基礎学力は、真に立ち向かうべき問題に挑む際に必要なベースにはなってくれることでしょうし、学生によってはこれまでの人生では優先順位がおそらくはそれほど高くなかったであろう勉強が実は面白いものでもあり、しかも努力は無駄にはならないということも、身をもって知りつつあることでしょう。うちの学生もなかなかやるな、と思っています。そしてそんな頑張っている学生の姿にほだされて(?)、せっせと勉強会のためのおやつを準備している私であります。子供が帰省するたびにあれこれ食べ物を持たせたがる親の気持ちが分かった気がします。

 


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