TOP > 学部案内 > 総合政策学部 > リレー随筆 > 10月 友原 嘉彦准教授

「女子旅」研究を通して「女子」を知る

友原 嘉彦准教授
 
 

 今年度(2015年度)は私にとって研究面で大きな転換を迎える年となりました。私は大学院時代(2006年〜2011年)、旧共産圏である東欧の観光変容を明らかにするため、ドイツ新連邦州(旧東ドイツ)を事例として研究していました。最終的に博士論文を執筆し、博士になったことでこの研究は1つの区切りを迎えました。2012年度に本学に着任して以降はこれまでの観光研究の経験を活かし、何か新しいことにも挑戦しようと考えていました。2012年度には「死を見つめ、死生観を涵養する旅」というテーマでインドのヴァラナシを訪れ、論文を執筆しました。2013年度には「人物を観光資源とした観光はどのようになっているか」ということから、金子みすゞと山口県長門市、ヘルマン・ヘッセとドイツのバーデン・ヴュルテンベルク州における彼ゆかりの都市を取り上げ、現地調査も含め、研究を行ないました。今でもどちらもおもしろく、有意義な研究テーマだと考えていますが、研究を深めるにあたって限界も感じました。

 迷える若手研究者(10月現在、もう34歳ですが…)として、愛犬のミニチュアダックスフントのジョニー君を抱きながら、「ああでもない、こうでもない」と悶々としていましたら、関西で仕事をしていた妹が四日市市の隣町出身の方と結婚することになりました。「縁結びだなぁ」と思い、「縁結びと言えば出雲だなぁ」と思い、「よし、出雲に行こう」と思いました。書店に行ってガイドブックコーナーを眺めると、昔とはなんか違うようなタイプのかわいい系のガイドブックが幅を利かせています。「なんやこれ?」ということで手に取りますと、「女子旅がどうのこうの」と書かれています。ここで閃きました。「出雲で『女子旅』研究をやろう」と。昨年の8月に出雲市でフィールドワークをし、論文を執筆した私は、さらに「観光学界では女性と観光についての研究の蓄積が少ない。観光がさらなる発展をするにあたり、これではいかん」と考え、「ほかの研究者も誘って、みんなで女性と観光について研究しよう」と思い、早速お声掛けすると、全国各地の新進気鋭の研究者達が「ぜひ、やりましょう」と応じてくれました。

 季節はちょうど今頃でした。研究者にとって今頃は科研費という科学研究振興のための国の助成金を申請する時期です。私達の共同研究グループも「女性と観光に関する総合的研究」という研究課題で申請しました。さらに冬には別のメンバーで「女性と観光に関する研究会」を企画し、日本観光研究学会へ研究分科会の申請もしました。どうなることかと思いましたが、今春、どちらも無事に採択されました。とてもうれしかったです。と、同時に「しっかりと責任を持ってやり遂げよう」と思いました。夏にはウェブマガジン「WEB観光政策フォーラム」を発行されておられる株式会社ジェイクリエイト様より「女子旅」の原稿の依頼を賜りました(タイトル「日本を覆う女子旅旋風―持続可能な女子旅目的地とは―」。8月3日付の「視点」コーナーに掲載)。また、お盆頃より晩夏まで科研費を使用し、パリ、ブリュッセル、ロンドンで「女子旅」調査をしました。今、この調査結果を基に論文を執筆中です。

 このように、気付けば私の観光研究のメインはドイツ新連邦州から「女子旅」を含む女性へと大きく動きました。2012年の統計を見ると、20歳代では女性の海外渡航者数は男性のそれを遥かに上回ります。この海外渡航の大部分は観光が占めていることでしょう。30歳代前半で拮抗し、それ以後は男性の方が多くなっています。しかし、男女共同参画が一層推進されると女性の観光熱は持続し、また、それが可能な環境となることでしょう。もちろん、30歳代後半から男性の海外渡航者数が多くなる大きな要因のように、海外勤務や海外出張を行なう女性も増えると思います。まずは科研費や学会の研究分科会が採択されている3年間、しっかりと「女子旅」研究・女性の(と)観光の研究を行ない、これを通して「女子」、女性の観光観、さらに人生観について、タイプ別、あるいは共通する特徴や傾向を明らかにしようと思います。研究対象は変わりましたが、しかし、「人にとっての理想の観光とは何か」という私の研究の大テーマは変わりません。今後も人々が豊かになるよう観光研究に邁進してまいりますので、よろしくお願いいたします。




【「女子」に絶大な人気を誇るパリ】


【列車もオシャレ(?)。パリ北駅にて】


【名物グルメもたくさんあるブリュッセル】


【爽やかで機能的なロンドン】

 


ページトップへ


四日市大学 〒512-8512 三重県四日市市萱生町1200