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四日市市川島地区と松井ゼミの協創ラボ「高齢社会と地域」

松井 真理子教授
 
 

 総合政策学部の松井ゼミでは、2014年から四日市市川島地区と「協創ラボ」の提携をしています。2015年度は、1年間を通じて、地区の皆様のご協力を得て「高齢社会と地域」をテーマに取り組みました。社会科学系の学部なので、大学の授業では「少子高齢化」という単語が日常的に登場しますが、若い学生達には、なかなかピンとくるものではありません。しかし今後の日本の政策は、これを前提に組み立てていかざるを得ませんし、彼らの就職先においても、高齢社会を対象とする仕事は増加すると思われます。さらには、人々が助け合う「地域社会」というソーシャルキャピタルについても、実際の地域の中で、その実態や意味を学んでもらおうというのが目的です。
 4月には、川島地区の高齢化の状況について、川島地区市民センターの伊藤館長から学びました。また、川島在宅介護サービスセンターの伊藤センター長にお越しいただき、認知症サポーター養成講座を全員が受講しました。終了後は全員が認知症サポーターに認定されました。
 5月には、川島在宅介護サービスセンター(在宅サービス)と、隣接する小山田特別養護老人ホーム「サテライト川島」(施設入所サービス)を訪問しました。初めて見る認知症の方々と話をさせてもらい、サポーター養成講座で学んだことを実体験することができました。「あなたたち、徴兵はまだ?」と一人の高齢女性から聞かれて、この方たちは実際に戦争を体験してきた世代なんだということが、学生たちは強く実感できたようです。


 6月には、川島地区で実施される認知症サポーター養成講座で上演する劇の練習を、川島地区の民生委員さんたちと行いました。民生委員さんたちは、認知症の高齢者と家庭の主婦、学生たちは、子どもたちとお父さんの役です。劇のシナリオは、川島地区にある特別養護老人ホームを運営している社会福祉法人青山里会が作ったもので、全部で4つのストーリーがあり、それぞれに「悪い対応」と「よい対応」の展開があります。実際に演じてみると爆笑の連続でした。
 7月には、川島地区の「福祉教室」において認知症サポーター養成講座が行われ、民生委員グループと学生は、練習した成果を発表しました。練習の成果があって、約60人の参加者から大きな拍手をいただきました。この劇を通じて、認知症への理解と、認知症の方を一人の人間として尊重することの重要性、地域社会によるサポートの重要性を学びました。
 この劇は、9月には川島小学校で、11月には三滝中学校でも行いました。高齢社会においては、困っている高齢者を見かけたら、子どもでもできることがあるということを考えてもらおうという内容でした。「高齢社会と子ども・若者」というテーマも考える契機となったと思います。


【(悪い例)公園でさまようお隣のおじいちゃんを無視する
ケンタとツヨシ】

【(よい例)公園でさまようお隣のおじいちゃんに、ゆっくり正面に向かい、一緒に帰ろうと声をかけるケンタとツヨシ】
 


 10月には、川島地区まちづくり協議会の皆様と一緒に、「若者と地域〜高齢社会に向かって」というテーマで意見交換会を行いました。参加者が60代以上の方ばかりということもあって、「若い世代に地域づくりの担い手がいない」「どうしたら若い人たちが参加してくれるのか」という切実な声が、学生たちには非常に印象に残ったようです。後に全体を通じての学生アンケート調査を行いましたが、この話し合いが最も印象に残っているという学生が多かったのには、正直なところ少し驚かされました。
 11月には、昨年度に続いて、川島地区のイベント「里山フェスタ」に参加しました。運営者が高齢者中心なので、学生たちの役割は、地域の子どもたちを楽しませることです。小さな子どもが喜んで遊べれば、連れてくる若い親世代が喜びます。事前にゼミで出し物を話し合い、ペットボトルに水を入れて並べ、足でボールをけって倒す「サッカーボウリング」と「〇×クイズ」をやりました。子どもたちは大喜びで、「おじちゃん」と学生を呼んで、背中に飛び乗って離れない子どももいました。スポーツ系の学生が多いので、準備体操の指導や、子どもたちと走り回るのはお手のものです。劇を一緒にやってすっかり顔なじみになった民生委員さんもおられ、学生自身も楽しめた一日でした。


 これらの成果を踏まえ、11月から12月にかけて、「若い世代と地域とのつながり」をテーマにしたアンケート調査を、総合政策学部の全学年の学生を対象に行いました。詳細な分析はまだですが、いくつかわかったことがあります。まず、「地域のつながりが大切」だと思っている学生がほとんどだということです(図1)。「若い世代は地域コミュニティに無関心」と言われがちですが、そんなことはないのではないかと考えさせられます。若い世代も地域社会が大切だと思っているけれども、実際に足を踏み出すには難しいことがある、そう考えればよいのではないでしょうか。
今回の調査で、地域のつながりが「とても大切」と回答した学生は、地域のつながりに否定的な学生と比べ、子ども時代に地域のイベントに役割を持って参加しているという結果が出ています(図2、図3)。川島地区のイベントで子どもを喜ばせる取組は、何かのきっかけになるかもしれないとも思えてきます。高齢社会、地域、子ども、若者。これらをつなぐ役割に、大学がどう関わっていけるか、来年度も検討していこうと考えています。



 


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